“いい家に見える”だけでは足りない。建売住宅を買う前に思い出してほしい7つのチェック項目#column
child▶完成していて、手頃な価格。そんな建売住宅の誘惑の裏側にある、見えないコストと気づかぬストレス。その“後悔の種”を芽が出る前に摘むための具体策とは？
【この記事で得られること】
- 建売住宅で実際に起こりやすいトラブルとその原因
- 表面の魅力に隠れた「構造・仕様・生活動線」の盲点
- 契約前にチェックすべきリアルな7つのポイント
- 「買ってすぐ住める」＝「安心して暮らせる」ではない理由
はじめに：「直感で買いたい」と思ったときこそ、深呼吸が必要です
その家を見た瞬間、「ここ、いいかも」と思った。
間取りも、キッチンも、外観も、自分の理想に近かった。
でも、冷静になってください。
それはあなたの「理想の家」ではなく、「理想に見える家」かもしれません。
建売住宅は“完成品”で売られます。
でも、実際に住んでみて初めて分かる違和感が、たくさんあります。
今回ご紹介するのは、「買った後に気づいても遅い」7つのチェックポイント。
あとから後悔しないために、今ここで“疑ってみる目”を持ちましょう。
① 広告の価格は「住める状態の値段」じゃない
建売住宅の価格表示は、最低限の建物価格です。
でも、実際に生活を始めるには、これだけの追加費用がかかります。
- カーテン・照明・網戸・表札
- エアコン・給湯器リモコン・テレビアンテナ
- 火災・地震保険、登記、仲介手数料などの諸費用
「この価格で住めるんだ」と思って動くと、後で100万円単位の出費に驚くことになります。
② モデルハウスの“装飾”に恋をしない
モデルハウスは、いわば“住宅のステージメイク”。
間接照明、アクセントクロス、家具、観葉植物。
その空間に恋しても、契約後に戻ってくるのは“素顔の家”です。
- 家具がないとスカスカに見える
- 壁紙はグレードダウンして真っ白
- おしゃれな照明はすべてオプション
**「標準仕様書を一緒に見ながら内覧する」**というスタイルを忘れないでください。
③ 建てる過程を見ていない家には“見えない心配”がある
すでに完成している家は、「どんな工事がされていたのか」を確認できません。
- 木材は湿気の多い日に濡れていなかったか？
- 断熱材はしっかり施工されていたか？
- 床下にゴミは残っていないか？
これらを素人が見抜くのは困難。
だからこそ、第三者のホームインスペクション（住宅診断）を頼む価値があるのです。
④ 間取り図では見えない“暮らしの小さな不便”が潜んでいる
間取りが理想的に見えても、「動きやすい」「暮らしやすい」とは限りません。
- 朝の洗面所での渋滞
- 洗濯から物干しまでの遠回り動線
- ドアと家具が干渉して使いにくい場所
図面ではなく、実際に家の中を“動いて”確認しましょう。
生活動線を歩きながら想像することが何より大切です。
⑤ コスト重視の建材は、後年のメンテナンス費を押し上げる
「価格が安い家」には、それなりの理由があります。
- スレート屋根：10年おきの塗装が必要
- サイディング外壁：コーキング劣化に注意
- 安価なサッシ：断熱性能が低く結露が多い
結果として、20年の維持費で数百万円の差が生まれることも。
「今の安さ」だけでなく、「将来の出費総額」まで逆算して考えましょう。
⑥ 性能表示がない家は、保険も冷暖房費も“地味に高い”
建物に「性能等級」があるかどうかで、ランニングコストが変わります。
- 耐震等級3 → 地震保険が約半額
- 断熱性能が高い → エアコン効率が良く、光熱費が下がる
「同じように見えて、後からお金がかかる家」が存在するということ。
性能表示ラベルの有無は、外観より重視すべき要素です。
⑦ 点検口がない家は、トラブル時に“壁を壊す”ことになるかもしれない
建物の床下や天井裏にトラブルがあったとき、点検口がなければ中を確認するには解体工事が必要です。
- 床下点検口
- 天井点検口
- 給水・排水管のアクセス口
これらがしっかり設置されているかを、内覧時に確認しましょう。
「見えない安心」を買うには、こうした“穴”の存在が必要です。
まとめ：「いますぐ住める家」ではなく「ずっと心地よく暮らせる家」を選ぼう
建売住宅は、“見た目に整っていること”が評価されがちです。
けれど、あなたが本当に欲しいのは、心地よく、安全に、経済的に、長く暮らせる家のはずです。
焦らず、惑わされず、遠くの未来から今の選択を見つめてみてください。
そのとき初めて、“買ってよかった家”に出会えるはずです。
